御滝中学校 木元 奈津貴
子どもがバドミントンの先生から 「もっと体力をつけようね ! 」と言われたそうです。
そして、その子どもから質問されました。 「体力って何 ? 」と。
私たちが日常的に使っている「体力」という言葉には、広くは二つの意味があり、それ
は共に生きていくうえでとても重要な能力です。ひとつはからだを動かして、外に向か
って働きかける、行動する能力であり、もうひとつはからだの外からのいろいろなスト
レスに対してからだを守る能力です。
(飯野さんのブログ(2021,7,7)にも【「体力がない」意味がよく分からない?】と題して
体力について解説されています。)
そして、からだをいっぱいに動かしているスポーツの場面では、からだを動かすために必
要ないろいろなからだの能力を「体力」と呼んでいます。
いろいろなスポーツを行っている場面では、このからだの3つの働きが中心となって運
動が行われています。どれも大切な働きで、スポーツの勝敗に大きく影響するものと言
ってもいいでしょう。
バドミントン競技においても同様にこの3つの働きが良いことが必要ですし、そのため
にこれらの能力を高めるためにいろいろな方法が考えられています。
これが「バドミントンのトレーニング」という言葉で表現されています。
ですから、なぜ体力をつけたら良いのかという質問に対しては、下図のような説明が
考えられると思います。
では、体力を高めるために何をしたら良いのかということですが、いろいろな方法を
実施する前に考えておかなければならないことがあります。それが「トレーニングの適
時性」という点です。
人の成長には個人差があり、成長の早い人もいれば遅い人もいます。そして、発揮す
る能力の時期にも違いがあります。トレーニングを開始する際の大切なことは、からだ
がトレーニングの刺激を受けて成長する準備が出来ているか、まだ準備が出来ていない
かの判断をすることです。そして、準備が出来てから始めます。
からだの一般的な成長の様子は下図で示されています。
成長過程の中で、最も発達が早いのは、① 器用さなどを習得する際に中心的に働く
神経系の発達で、次いで② 粘り強く動き続ける際に中心的に働く心臓や肺などの呼吸循
環器系の発達で、最後に力強さやパワーを発揮する際に働く筋肉の発達になります。
このように、成長過程において、機能の発達にはそれぞれ特徴があることが分かってい
ますので、それを踏まえて、能力の伸びる時期に運動による刺激を与えて、さらに大き
く成長させるということがスポーツの場面では大切になってきます。
指導をしている子どもの成長段階を把握する方法のひとつとして用いられているのが
「標準化成長速度曲線」です。
まずPhase1は身長が急激に伸びる前の段階です。筋力や持久力の急激な向上は期待で
きません。この時期は自分の体重をどのような状況でも支えながら、いろいろな動作を
できるようにすることが重要です。器用な子どもになるチャンスの時期。
Phase2は骨格が著しく発達することから、とくに身長が大きく伸び始めるのが特徴で
す。身長が伸びているこの時期は、全身持久力が向上する時期なので、全身持久力の能
力が高まるトレーニングを重点的に行うことで、より効果を得ることができます。運動
を少しでも長く続けられるようにする時期です。
Phase3で身長の伸び率が低くなってくると、ホルモンなどの影響で筋肉量が増加して
いきます。したがって、レジスタンストレーニング、ジャンプトレーニングなどで筋肉
を強くし、パワーの発揮能力を高めるトレーニングを行っていきます。
子どもの成長段階をチェックしながら、どの時期にどのようなトレーニングを実施す
れば最適なのかを知る手がかりになります。
成長段階に応じたバドミントン競技の練習・トレーニングの内容は下図のようになります。
年齢区分は目安です。子どもの成長段階によって内容の移行は必要になってきます。
子どもに合ったトレーニング内容を実施するように心がけましょう。